私は現在、自分のサロンでエステティシャンとして仕事をしながら、日曜と祝日は、温浴施設のリラクゼーションスペースでセラピストとして勤務しています。
(ちなみに、エステティック業ではエステティシャン、リラクゼーション業ではセラピストと呼ぶことが多いです。)
もともと温泉が大好きで温浴施設で仕事をすればお風呂に入れるというよこしまな気持ちで仕事を始めたのですが、リラクゼーション業界での学びは多かったです。
また、普段、一人で静かに仕事をしているので、たまに人が多く集まる温浴施設へ行くといい刺激になります。
温浴施設では老若男女、様々な職種のお客様がいらっしゃり、自分のサロンとは違った客層の方との出会いも楽しみの一つです。
うなぎ屋の料理人で、朝から晩までうなぎをさばいて手がお疲れの20代男性
脚と腕がパンパンでお仕事をおたずねしたら、ダンプの運転手だった30代女性
工場でのお仕事に慣れず、安全靴で足の甲がお疲れの20代男性
自転車屋にお勤めで、入学シーズンになると自転車の上げ下ろしで肩と腕がお疲れの30代男性
大工の見習いで重い資材を運ぶため背中が鋼のように固い20代ベトナム人男性
などなど‥
あげたらキリがないほど、たくさんのお客様の施術をさせていただきました。
温浴施設では男性客の方が多く、お身体がお疲れで、強くもみほぐして欲しいというご希望(強揉み希望)をよく受けます。
コースも、短いものは20分からあり、部分ケアも可能。
一時的にお疲れを取りたい方やすぐに楽になりたい方が多く、一度きりということもしばしばです。
しかし、この気楽さや気ままさがリラクゼーションの良いところだともいえます。
もちろん中には、良い状態を維持するために継続して通ってくださる方もいらっしゃいます。
特に、接骨院での保険を使ったマッサージは部分的で15分〜20分程度と短いため、全身を長い時間をかけてケアしたい方も多くいらっしゃいます。
そういうお客様のために、100分以上の長いコースもあります。
リラクゼーション店の多くは、温浴施設の他、ショッピングモールのテナント店や格安もみほぐしチェーンの路面店などがあります。
料金設定は、手技のみの施術のためかエステティックサロンより安いところが多い印象です。
温浴施設でエステティックサロンを経営しているとお話しすると「エステとリラクゼーションは何が違うのですか?」と聞かれることがあります。
「エステって脱毛のことですか?」「エステって痩身のことですか?」「エステって何ですか?」というご質問も。
いつもは説明する時間がないため、一言で、「エステは美容目的で、リラクゼーションは疲労改善やリラックス目的」と言っています。
でも、本当のところは、一言で説明するのは難しいです。
日本標準産業分類では、リラクゼーション業を「手技を用いて心身の緊張を弛緩させるための施術を行う事業所」と定義しています。
リラクゼーションメニューには、もみほぐしのボディケアを始め、フットケアやハンドケアのリフレクソロジー、タイ古式マッサージ、アロマオイルトリートメントなどのエステ、あかすりのボディクリーンなどがあります。
代表メニューのボディケアについては、国家資格で治療を目的にした按摩、マッサージ、指圧と区別がついていらっしゃらないお客様も多くいらっしゃいます。
そういうお客様が多いためか、始めに「リラクゼーションを目的にしており、治療行為ではない」ことに同意していただきます。
温浴施設では、カウンセリングはなく、体調確認シートにご記入頂いた後、短い時間でお疲れ部位をヒアリングし施術に入ります。
忙しくて時間がない人や、とにかくすぐに疲れを取りたい人には、とても合理的なシステムだと思います。
「リラクゼーション」とは、そもそもは、「気晴らし」や「緩和」という意味。
肉体的、精神的な緊張を解し、副交感神経を優位な状態に導き、リラックスさせることを目的とした施術のことを指します。
そのため、多くのリラクゼーション店は、体だけでなく心もリラックスできるよう、手技だけでなく空間演出や接客にもこだわっています。
一方、エステティック業は、「手技または化粧品・機器等を用いて、人の皮膚を美化し、体系を整えるなどの指導又は施術を行う事業所」と定義されています。
カウンセリングでトリートメントの目的を設定し、それに基づいて使用する化粧品、施術方法を選択します。
「スキンケア」「プロポーションメイキング」「リラクゼーション」を駆使して 肌・体・心の美と健康を作り上げていくため、トータルなケアだと言えます。
また、サロンでのトリートメントだけでなく、食事、運動、生活習慣などについてのアドバイスもします。
そのため、化粧品やサプリメントなどの販売をするサロンが多いです。
リラクゼーションでは、あらかじめ決まったメニューを施術するのに対して、エステティックでは、カウンセリングで施術内容を決めていきます。
ただ、フェイシャルエステや脱毛などのスキンケアや、痩身などのプロポーションメイキングに特化したサロンが多いのも事実です。
そのため、「エステ=脱毛」や「エステ=痩身」のイメージがあったり、エステティックが何か分かりづらくさせているのでしょう。
また、フットケア、ハンドケア、アロマオイルトリートメントなどは、エステティックでも行います。
その上、アロマテラピーの協会もあるため、より訳がわからなくなります。
つまり、エステティック側からすると、リラクゼーションは手段であって、目的ではありません。
しかし、リラクゼーション側から見ると、エステはリラクゼーションメニューの一つだとも言えます。
きっと、お客様からすれば、エステだろうが、リラクゼーションだろうが、そんなことはどうでもいいんだと思います。
より安くて、よりサービスが良ければ。
特に、美容師、鍼・指圧・マッサージなと違い、どちらも国家資格ではありません。
立場より、もっと、お客様の気持ちに寄り添うべきだと思います。
近年、精神的なストレスや肉体的な疲労が積もり積もった結果、人のやさしい手に心と体を委ねるお客様が増えました。
リラクゼーション業界はそんなお客様の受け皿となり急発展をとげました。
それとも、エステティックサロンの質が低下して本来の役割を果たしていないから、そちらへ流れたのでしょうか?
温浴施設で仕事を始めたころ、ただ、凝りをほぐしているだけなのに、どうしてこんなにお喜びいただけるのか不思議でした。
でも、今ははっきりと分かります。
人間はストレスがかかると筋緊張するため、身体を解すということは心を解すことにもなるからです。
「楽になリました。」というお言葉は、身体だけでなく、気持ちまでも楽になっていたのですね。
当サロンでは、リラクゼーションの良いところを取り入れ、お客様に喜ばれるサロンづくりをしております。
皆さまのご利用を心よりお待ちしております。
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