ソシオエステティシャンは楽な仕事ではありません!

最近、ソシオエステティックの勉強をしているとお話しすると、立て続けにこんなことを言われました。

「そろそろ、リタイヤですか?」
「もう歳だから、そのほうがいいかもね。」
「トリートメントが辛くなったのですか?」

たまたまかもしれませんが、ソシオエステティックの仕事が誤解されているのでは?と感じることが続いたので、ここで弁明させてください。

ソシオエステティックの仕事は、決して楽な仕事ではありません!
精神的にはもちろんのこと、肉体的にも大変な仕事です。

わたしも歳をとってずいぶんと丸くなったと思っていましたが、久々に腹立たしい気持ちになりました。
私だけならともかく、ソシオエステティシャンを目指している仲間まで誤解を受けたような気がしたからです。

やはり、何でも新しいことを始めるということは、大変なのだなぁとつくづく思います。

それもそのはず、日本でソシオエステティックが始まったのはまだ20年ほど前、現在、資格を保有しているソシオエステティシャンも全国で120名ほどしかいないのですから、認知されていなくて当然です。

エステティックというと、若い女性向けの痩身や脱毛などの美容サービスのイメージがあるかもしれませんが、現在、医療や福祉の現場でも、その施術が取り入れられ注目されています。

その中でも、ソシオエステティックは人道的・福祉的観点から、精神的・肉体的・社会的な困難を抱えている人に対し、医療や福祉の知識に基づいて行う総合的なエステティックです。
エステティックの施術によって、人を癒し、励まし、QOL(生活の質)を向上し、その人が、本来の自分を取り戻すために支援することを目的としています。
(詳しくは、ブログ記事 「いくつになったって、どんな時だってキレイでいたい!」 をご参考ください。)

確かに、ソシオエステティシャンには、40代、50代の方が多く活躍されています。

ソシオエステティックは、人生における様々な経験が生かされる仕事なので、歳を重ねていたほうが有利なことはあります。
それは、困難を抱えていらっしゃる方の身になって考えることが出来たり、その置かれていらっしゃる状況の理解が深まったりするからです。

わたしの周りにも、ご自分の病気やご家族の死を乗り越えてこられた方、現在、ご家族を介護中の方、ご家族に障害のある方がいらっしゃる方など、さまざま経験をお持ちの方々が、その経験を社会に貢献したいと高い志を持って活動されていらっしゃいます。

厚生労働省のキャリアマップでも、ソシオエステティシャンはスペシャリストレベルやマスターレベルに位置づけられており、サロンを独立開業していたり、講師やインストラクターもできるようなレベルのエステティシャンが有する資格です。

日本エステティック協会では、認定エステティシャン以上の資格を有しており、5年以上の実務経験がないと、ソシオエステティシャン養成講座に参加できません。

つまり、ソシオエステティシャンの仕事は、サロンで健康な方の施術が出来たうえで、病院や社会福祉施設のスタッフの一員として、エステティシャンとしての角度から、精神的、肉体的、社会的な困難を抱えている人たちに対してアプローチする難しい仕事です。

しかし、ソシオエステティックの仕事が一見、楽そうに見えるのは、老人ホームなどで、介護ボランティア、福祉ボランティア、アロマボランティアなどの方がハンドマッサージなど同じようなことをしていらっしゃったりするからではないでしょうか?
ボランティアの方にもできるのだから、きっと簡単に違いないと思われているのかもしれません。

また、対象者が病気や高齢者の方々のため、施術内容が力を要さないことと、部分ケアだからだと思います。

病気や高齢者の方の施術では、筋肉を解したりしないため、力は必要ありません。
また、皮膚が病気や老化で脆くなっているため、やさしくさするだけや、時には手を重ねて温めるだけの時もあります。

傍目には、何の技術も必要ない誰にでも出来ることをしているかのように見えるかもしれません。

しかし、ちょっとしたことで体力を消耗させてしまい、急に状態が変化することがあるので、細心の注意が必要です。
目が離せずいつも緊張状態で、まさに「命の現場」なのだと実感します。

当サロンのお客様には看護師の方が多いのですが、今さらながら、大変な現場でお仕事をされていらっしゃったのだなぁと知りました。

次に、ソシオエステティックの施術は着衣のまま行う部分ケアで、フェイシャルケア、ハンドケア、フットケア、マニキュア、メイクの中からその対象者に合った施術を選択します。
時間は、一日に何人も周るため、お一人、20分から30分程度です。

場所も、エステルームではなく、車椅子に座ったまま、背中の丸くなったご利用者様や、病室のベッドで寝たきりで体が硬直した患者様などに、屈んだり、手を伸ばしたり、狭い場所に入り込んで施術したりします。(高級老人ホームなどエステルームが用意される場合もあります。)
そのため、どんな姿勢にも耐えられるような柔軟で丈夫な身体でなくてはなりません。

サロンで、自分の身長に合わせた高さのベッドで全身の施術をする方が、いかに楽かと思います。

そのため、ソシオエステティックは「引き算の施術」だと言います。

いろんな技術を修得していて、やろうと思えばどんな素晴らしいサービスも出来るけど、限られた条件(人、時間、場所)の中で、出来ることをするのが大切です。

また、良かれと思ってやってはいるけど、決して良くなるとは限らず、喜んでもらえるとも限りません。

まだインターンシップ中で、大変なのは、これからだと言う事は重々、承知しています。
それでも、失敗してしまった時などは、どうしてここへ足を踏み入れてしまったのだろうと思ったこともあります。

それでは、どうしてそんな大変な思いをしてソシオエステティシャンを目指すのでしょうか?


ソシオエステティックは、約40年ほど前、フランスのルジエール女史の想いから生まれました。

そのルジエール女史がソシオエステティシャンが守るべき戒めを提唱しているので、ここでご紹介させていただきます。


ソシオエステティシャンの十戒

1.体力があること(無理のある姿勢になることがある)
2.適応力があること(様々な職種の方々に対して)
3.精神状態が安定していること(個人的問題は持ち込まない)
4.余裕を持つこと(施術者に対して常にリラックスした対応をする)
5.世話好きであること(人に認められてこそ自分の存在感が生まれる。人と人との触れ合い、他人の喜びを分かち合う)
6.礼儀正しくあること(会話で施術者の気持ちを落ち着かせること、イライラした態度であっても忍耐力で乗り切る)
7.楽天的であること(柔らかく、自然な表情で非施術者の心を開かせる)
8.観察力を持つこと(私物や体の状態を細かく観察する)
9.耳を傾けること(暖かい気持ちで黙って傾聴する)
10.自制心を持ち、恐怖心を克服する(日、施術者の環境や病気に対する恐怖を克服する)


いかがですか?
いかに、ソシオエステティシャンが出来た人間でないといけないかお分かりいただけるかと思います。

ソシオエステティシャンになりたいというよりは、わたしがこうなりたいと思う姿こそが、ソシオエステティシャンなのかもしれません。
エステティシャンとして、人として成長していきたいものです。



生涯の美と健康のパートナー ゆえりゃん

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